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ごきげんよう、みかねーです。

GW後半、いかがお過ごしでしょうか。昨晩、地元のスポーツジムに行ったら、ものすごく空いていました。がら~んとしていて、ロッカールームもいつもならドライヤーの音が競うように鳴り響いているのに、シーンとしていて拍子抜けするほど。

みんな、どこに行ってるんだろうなぁ。

街が混んでいるときは、家でまったり読書か映画鑑賞に限ります。って、いつなんどきでも私にはそのふたつの選択肢しかないけど・・・




きょうは、昨年読んだ本の中で、生涯忘れられないだろうと思うほどの感動を味わった、直木賞・本屋大賞を受賞した西加奈子著長編小説「サラバ」をご紹介。





「読書メーター」というサイトの感想を読むと、賛否両論だしそれほど高評価なわけでもないので、これはすごく好き嫌いが分かれる小説かもしれません。


珠玉の1冊に出会えた時、ものすごい感動と得した気分、味わいますよね。自分にとって好きな作家の安定感、読みなれた好みの文体の安心感もいいけど、たまたま見つけた初作家の本がそこそこ面白ければ掘り出せた満足感もありますよね。

「サラバ」は今まで私が好んで読んでいた小説とは、全く違う傾向だったからこそ掘り出せた喜びと共に、新鮮な感動を味わえたのかもしれません。


この本を買ってみようかな・・と思ったのは、楽天ブックスの中巻「内容情報」にあった「ある取材を依頼される。そこには変わり果てた姉が絡んでいた」というこの一文。

私は、物語の中に出てくる、いわゆる「変わり者」が大好きです。自分の周りにはまあそんなに変わった人っていないし、基本臆病者なんですごく変わっている人と実際にかかわるとなると勇気がいるし。


全3巻で、結構なボリュームだけど、長編が好きなのでここは全く苦にならず、先が読みたくてどんどん進みます。

妹に「なんかおススメの本ない?」と聞かれた時も、手元にあった「サラバ」全3巻を即貸し出しました。妹の読後感想も私と全く同じで「しばらく他の本が読めないほどの衝撃だった」と。妹と私は本の好みがかなり違うにも関わらず、ここの感想はぴったり一致。


両親がいて、変わりモノの姉がいる主人公は圷歩(あくつあゆむ)は、父の海外赴任先であるイランの病院で生まれます。その後、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活スタートさせるも、歩はすぐに溶け込めるものの姉は孤立を深めていきます。

そして、父の新たな赴任先エジプトに渡り、ヤコブというエジプト人の少年と出会い友情を育みますが、このヤコブという少年が歩の心に大きな影響を与えます。


歩少年が青年になるまでの生活をベースに、家族や友人、恋人とのかかわりの中での様々な出来事や心情が描かれていますが、変わりモノの姉がキーマン。

ある日変わり者のお姉さんが、弟である歩に「あなたはあなたなの。あなたが信じるものを誰かに決めさせてはいけない」と言うんだけど、そのセリフを言うまでの姉の葛藤が細かく描かれているから、苦しくなっちゃうほどの重みがある。


すごく深くて、せつなくて、でも人って強いなとか、一人じゃないなとか、いろんな感情が湧いてくる。

本の帯には又吉直樹さんの「これはあなたを魂ごと持っていく物語」という感想が掲載されていて、そう・・本当に魂が持っていかれた感じ。


主人公や登場人物がかなり個性的だし、イランやエジプトが舞台となっている場面もあり、馴染みがある場所ではないためとっつきにくさがあるのかもしれません。好き嫌いが分かれる小説かとは思うけど、私は人の縁や人生を深く綴り、飽きることなく読み進められる長編を生み出した西加奈子さんに敬意を表したいと思いました。





自分の知らない世界が無限に詰まっているという期待で開く1ページ。その瞬間さえ、もう感動が押し寄せてきちゃう気がします。小説ってホント、心の栄養剤です。

それではまた。ちゃおっ